むるむる ブログ

主に旅について、それから色々

AD

「え、これ何で券売機で買えないの?」

「ネットなら全部できそうなのに!」
複雑な乗車券を買うとき、そんな疑問を抱いたことがある人は多いはず。

例えば──

  • 複数区間をまたぐ連続乗車券
  • 途中下車を前提にした長距離きっぷ
  • 特例区間を含む経路
  • 他社路線との連絡運賃
  • 割引併用の特殊ケース

こうした複雑きっぷは、なぜ券売機やネットで簡単に買えないのか?**
今回はその裏事情を、分かりやすく解説します。


■ なぜできない? それはJRの切符システムが超複雑だから

JRグループは座席指定や乗車券を処理するために、
MARS(マルス)=旅客販売総合システム という巨大な発券システムを使っています。

このMARSは、駅の窓口にある専用端末や旅行会社端末と強力に連携し、
膨大なルールや例外処理をリアルタイムで判断できるように設計されています。

しかし──
券売機やWebサービスは、この専門的な操作のすべてを公開しているわけではないため、
一般向けの画面では次のような特殊な処理ができません。

  • 経路ごとに異なる運賃規則の判定
  • 他社線との連絡運賃の組み合わせ
  • 特例区間や割引ルールの例外処理
  • 途中下車・連続券の判定分岐
  • 人による判断が必要なケースの処理

つまり、券売機やネット予約は “よく利用される標準パターンに最適化されている” ため、
レアケースや複雑処理の領域は みどりの窓口の専門端末 に残されているのです。


■ 実は「無理」なのではなく“責任と安全のために制限している”

もしネットで何でも発券できたとすると、

  • 誤発券
  • 経路の誤選択
  • 割引や特例の損失
  • 駅でのトラブル増加
    など、大きなクレームや混乱になるリスクがあります。

そのため、
複雑きっぷは「人の判断」が前提の業務として残されているのが現実です。

実際、駅員が手書きの補充券を作るようなケースもあり、
機械では処理できない“創作作業”に近い発券方法すら存在します。


■ じゃあ完全自動化は無理? → 実は変化は始まっている

2020年代に入り、JRは以下のような取り組みを進めています。

  • 新幹線eチケットで紙券不要に
  • スマホとICで特急に乗れる時代へ
  • Web予約で指定席をそのまま利用可能
  • 購入範囲が徐々に拡大

つまり、
標準化されたきっぷはどんどん券レス化・自動化しています。

ただ、
すべての複雑ルールが自動化できる未来はまだ遠い
というのが本音です。

その理由はシンプル:

運賃体系そのものが複雑すぎる。

ルールの整理とシステム刷新には、
莫大なコストと長い時間が必要なのです。


■ 結論:みどりの窓口がなくならない理由

  • 電車の乗車券は、技術以前に「社会インフラ」
  • 100%自動化より、安全・確実・トラブル回避が優先
  • 特殊なきっぷほど、人間の知識と判断が必要

だからこそ、

複雑きっぷは券売機で買えないのではなく、あえて買えないようにしている。

そしてそれは、
ユーザーを守るための仕組みでもあるわけです。


まとめ

テーマ結論
なぜ複雑きっぷはネットや券売機で発券できない?運賃体系・特例・連絡などのルールが極端に複雑だから
無理ではなく「安全のために制限」?YES、人による判定が必要なケースが多い
将来はネットでできるようになる?標準化された区間から段階的に進行中
Post date : 2025.12.07 14:10