むるむる ブログ

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――世界が羨む資源と、致命的に噛み合わない国の仕組み

「日本は観光立国を目指すべきだ」
この言葉は、ここ10年以上、呪文のように繰り返されてきた。

円安、治安、食、四季、文化。
素材だけ見れば、日本は世界トップクラスの観光資源国だ。
それなのに、日本の観光はどこか「伸び切らない」「儲からない」「疲弊している」。

なぜか。

結論から言うと――
日本は“観光資源国”ではあるが、“観光立国”には向いていない国だからだ。


観光立国とは「産業」ではなく「国家の覚悟」

まず、はっきりさせておきたい。

観光立国とは
「観光客が多い国」でも
「観光地が有名な国」でもない。

観光を最優先産業として、国の設計を歪める覚悟がある国
それが観光立国だ。

モルディブは、生活を切り捨ててリゾートになった。
ドバイは、砂漠に意味を与えるために都市を作った。
スペインは、歴史遺産を国家管理にした。

彼らは共通してこう考えている。

観光は「副業」では成立しない


日本が持つ、世界最強クラスの観光資源

誤解しないでほしい。
日本の素材は、本当に異常なレベルだ。

  • 治安:世界最高水準
  • 食:安くて美味くて安全
  • 交通:正確すぎる公共インフラ
  • 自然:四季・山・海・雪
  • 文化:宗教、武道、アニメ、職人技

「日本より魅力的な観光素材を持つ国は?」
と聞かれたら、正直かなり少ない。

素材だけなら、日本はSランクだ。


それでも日本が観光立国になれない理由

① 観光が“生活の上位”に来ない

日本では、観光は常にこう扱われる。

  • 住民生活が最優先
  • 迷惑にならない範囲で
  • 静かに、節度を持って

これは日本社会としては正しい。
だが、観光立国としては致命的に不向きだ。

観光立国とは、

  • 騒音
  • 混雑
  • 価格上昇
  • 文化摩擦

これらを受け入れる前提の国だからだ。

日本は、これを本能的に拒否する。


② 国が「儲けに行く」設計をしていない

日本の観光政策は、基本こうだ。

  • 来てくれてありがとう
  • 迷惑かけないでね
  • たくさんは儲けなくていい

一方、観光立国は違う。

  • 滞在させる
  • 移動を限定する
  • 消費導線を作る
  • 逃がさない

モルディブの「一島一リゾート」はその極致だ。
日本は真逆で、自由すぎてお金が落ちない


③ 国土が“人の生活の場”として完成しすぎている

これは皮肉だが、日本最大の弱点。

日本は、

  • どこにでも人が住んでいて
  • どこにでも生活があり
  • 観光地でも日常が優先される

沖縄がモルディブになれなかった理由も、ここにある。

観光地に住民がいる限り、観光は制限される。

日本は国全体が「生活の場」すぎるのだ。


それでも日本が選ぶべき現実的な道

では、日本は観光を諦めるべきか?

答えはNO。

ただし、**観光立国ではなく「観光強国」**を目指すべきだ。

日本に向いている観光モデル

  • 数を追わない
  • 滞在の質を上げる
  • 高付加価値を少量で
  • 文化・体験・知的消費に寄せる

つまり、

モルディブになろうとするな
京都・奈良・金沢を極めろ

という話だ。


日本は「観光立国に向いていない」

しかし――

最後に、少し視点を変えよう。

日本は確かに、

  • 観光で国を作り替える覚悟はない
  • 生活を犠牲にできない
  • 騒がしい国にもなれない

だが、それは裏を返せば、

観光のために、国を壊さなかった国

でもある。

住みやすさを守り、秩序を守り、
その上で「来たい人だけ来ればいい」。

この姿勢は、短期的には儲からない。
だが、長期的には信頼という最大の資産になる。


結論

日本は、観光立国には向いていない。
だが、
世界で最も“静かに愛される観光国”にはなれる。

それは派手でも、儲け最優先でもない。
だが、真似できる国は、ほとんど存在しない。

――日本は、そういう国だ。

Post date : 2026.02.18 13:02