なんとなく、なんでも雑記
落語の話をついでにもう一つ。
夏場に暇な若い衆が一杯やる相談をしていた。
酒はあるのだが、酒の肴をどうするか困っていた。皆金が無い。
昨日豆腐を買っていたのを思い出したが、ねずみいらず(ねずみが入らないように作られた頑丈な戸棚)に入れていたおかげで腐っていた。
その前を若旦那が通りかかる。
この若旦那、知ったかぶりで気障で嫌らしい人物。
若い衆は、若旦那を食通だのなんだのとおだてあげ、この腐った豆腐を食べさせてしまう事にする。
『若旦那、これはなんてぇ食べものでございます?』
『私が思うに、これは酢豆腐だな』
うまいこと持ち上げられた末に、目はぴりぴり、鼻にはツン来ながら、とうとう一口。
何とも言い難い表情。
『酢豆腐ですか。さすが若旦那よく知っていますね。沢山食べてくださいよ』
『いや、酢豆腐はひと口に限ります』
いやぁ、若い連中というのは、いつの時代でもろくでもない遊びをしているものなのでしょう(笑)
ところで「酢豆腐」という言葉は、かつての多くの国語辞典には「生豆腐に酢をかけた食品」という解説が良く載っていたらしいですが、デタラメです。
これは、辞書編纂者が無検証で掲載したり、他から転載したためと言われています。
「酢豆腐」の辞書に載せる内容としては、知ったかぶりをする人、きいたふう、半可通、通ぶること、ぐらいの意味になるようです。
元ネタは上の落語ネタ「酢豆腐」で、 酢豆腐という食べ物は実在しません 。
広辞苑では、第二版から正しい内容に修正されているとの事です。確認していませんけど。
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