むるむる ブログ

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機内食は、単なる「空腹を満たす食事」ではありません。

それは、私たちが今まさに非日常の旅に出ていることを実感させてくれる、空の上でのユニークな美食体験です。しかし、その製造・提供の裏側には、私たちが知らない緻密な工夫と、進化し続ける技術が詰まっています。

今回は、機内食がなぜ特別に感じるのか、そしてその知られざる秘密と最新トレンドを深掘りします!


1. 🧪 なぜ機内食は「地上と味が違う」のか?

機内食の味が地上で食べる料理と少し違うと感じたことはありませんか?それは、**「環境」**が私たちの味覚に大きな影響を与えるからです。

① 🅱️ 気圧と乾燥による味覚の変化

  • 乾燥: 飛行機が巡航高度に達すると、機内の湿度は砂漠よりも乾燥します。鼻の粘膜が乾燥すると、食べ物の**「香り」を感じる能力が著しく低下**します。
  • 低気圧: 機内の気圧は標高2,000〜2,500m程度の山にいる状態に相当します。この低気圧と乾燥が相まって、人間の甘味と塩味の感知能力が約30%低下するという研究結果もあります。
  • 対策: 航空会社は、この味覚の変化を補うために、地上で作る際、意識的に塩分や香辛料を多めに使用しています。

② 🧠 エンジン音による影響

興味深いことに、機内の騒音(エンジン音など)も味覚に影響を与えます。特に**うま味(UMAMI)**は、騒音下でも比較的強く感じられることが分かっており、このため、多くの機内食では昆布やトマトなどのうま味成分を積極的に活用しています。


2. 👩‍🍳 機内食の裏側:製造と安全の秘密

機内食は、空港近くの専用施設で製造され、機内に搭載されます。そのプロセスには、衛生管理と品質保持のための高度な工夫が必要です。

① 徹底的な衛生管理とコールドチェーン

  • HACCP基準: 機内食の工場は、食品安全管理の国際基準である**HACCP(ハサップ)**などに厳密に基づき運営されています。
  • 急速冷却: 調理された食品は、すぐに喫食されるわけではないため、**急速に冷却(コールドチェーン)**され、細菌の繁殖を抑えます。
  • 再加熱: 機内では、提供前にオーブンで加熱調理(リヒート)されますが、提供されるまでの低温状態を維持するためのプロセスが最も重要です。

② 緻密な搭載計画

  • 数万食もの機内食を、フライト番号、クラス、特別食の指定、乗務員食などに分けて、正確にトレイに積み込み、**ギャレーカート(機内のワゴン)**に搭載します。わずかなミスも許されない、非常に緻密なロジスティクスが求められます。

3. 🚀 進化する機内食のトレンド

近年、機内食は多様化し、単なる食事からブランド体験へと進化しています。

① 有名シェフとのコラボレーション

航空会社は、ブランドイメージ向上や特別感の演出のため、ミシュラン星付きシェフや有名店の監修によるメニューを提供しています。特にビジネスクラスやファーストクラスでは、まるで高級レストランのような食事が楽しめます。

② 多様な特別食(スペシャルミール)

宗教上の制約、健康上の理由(アレルギー)、ライフスタイル(ベジタリアン、ヴィーガン)など、多様なニーズに応える**特別食(Special Meal)**の種類が大幅に増えています。予約時に事前にリクエストすることで、誰でも安心して食事を楽しめます。

③ 「空弁」や地域色豊かなメニュー

短距離路線や国内線では、機内食の代わりに**「空弁(そらべん)」**など、その地域や季節の食材を活かした独自性の高いメニューを提供する傾向が強まっています。


📝 まとめ:旅を彩る重要な「道具」

機内食は、私たちの舌が騙されやすい特殊な環境で、安全性と美味しさを両立させるために、科学とロジスティクスが注ぎ込まれた「道具」です。

次に飛行機に乗る際は、味覚の変化や、その裏側にある緻密な製造プロセスに思いを馳せてみてください。きっと、いつもの機内食が、より特別な体験になるはずです。

Post date : 2025.11.26 22:18