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日本のホテル市場は、長らく駅前が中心でしたが、

地方の車社会化、BCP(事業継続計画)の重要性、そして安価な土地活用のニーズから、**幹線道路沿いの「ロードサイド型ホテル」**が新たな主戦場となりつつあります。

この市場を牽引するルートインに加え、近年、徹底したローコスト運営やファミリー層に特化することで成功を収めている、新興・中堅チェーンの存在感が増しています。今回は、これらのチェーンが日本の「現代版モーテル」をいかに進化させているかを分析します!


1. 🅿️ ロードサイド展開のパイオニアと後続の存在感

「モーテル型」ビジネスホテルのイメージを確立したのはルートインですが、その成功モデルをさらに細分化し、特定のニッチ市場を狙うチェーンが成長しています。

ルートインの基盤戦略(再確認)

  • 徹底したロードサイド立地無料駐車場の確保。
  • 大浴場、無料朝食の標準装備による、出張者・ファミリー層への訴求力の高さ。

新興・中堅チェーンの戦略

これらの後続チェーンは、ルートインが手が届かない、あるいは特定の顧客層に特化することで、市場の空白を埋めています。


2. 🏨 ロードサイドの個性を追求する新興チェーンの戦略

① ホテルAZ(アメイズ)の徹底した低価格戦略

**株式会社アメイズ(福岡県)が全国に展開するホテルAZ(ホテルエーゼット)は、ロードサイドホテルの「ローコスト運営」**を極限まで追求し、市場の価格帯を押し下げています。

  • 戦略:徹底した低価格化: **「宿泊費の地域最安値クラス」**を実現するため、サービスを合理化。無料駐車場を完備し、**価格を重視する層(ビジネス、工事関係者)**の安定した獲得を狙っています。
  • 特徴:運営の簡略化: 自動チェックイン機の活用や、客室設備をシンプルにすることで、運営コストを低減。これにより、地方の安定需要を低価格で受け止めるビジネスモデルを確立しています。

② 旅籠屋(ファミリーロッジ)のファミリー特化戦略

旅籠屋(ファミリーロッジ)は、北米のモーテルスタイルを色濃く残しつつ、**「ファミリー層・車中泊」**のニーズに特化しています。

  • 戦略:素泊まり特化と安心感: 宿泊は基本的に**素泊まり(ブレックファースト付きの場合あり)**で、サービスを絞り込むことで安価に提供。外からのアクセスが良い構造でありながら、ファミリー層が安心して泊まれる清潔感を重視しています。
  • 特徴:快適な連泊仕様: 全室に広いベッドと専用の駐車スペースを用意。一戸建て形式(またはそれに近い構造)の施設が多く、長期の車での周遊旅行や、連泊に適した作りになっています。

③ その他の中堅チェーンの地域特化

ルートインの「駅前+ロードサイド」戦略に対し、より地方の産業道路沿いや、IC(インターチェンジ)近くに特化し、特定のビジネス(工事関係者、トラックドライバーなど)の需要に合わせたサービスを提供する中堅チェーンも、着実に勢力を広げています。


4. 🚀 日本版モーテルが成功する理由

これらのロードサイド型ホテルが成功を収めている背景には、社会構造の変化と、それに対応した明確なポジショニング戦略があります。

  • BCP(事業継続計画)の重要性: 鉄道に依存しないロードサイドホテルは、災害時や復旧時の拠点として地域のBCPに貢献。
  • 価格と利便性の両立: 土地代が安い郊外で、無料駐車場と低価格を実現しつつ、主要幹線道路沿いという「利便性の高さ」を両立させている。
  • 市場の細分化: ルートインが「ビジネス+大浴場」という中間層を押さえる一方、ホテルAZは「低価格」、旅籠屋は「ファミリー」と、ターゲットを明確に細分化することで、市場全体が拡大している。

5. 📝 まとめ:地方宿泊インフラの多様化

日本のロードサイドホテル市場は、単なるビジネスホテルの郊外展開ではなく、**「日本の車社会」「多様化する旅行ニーズ」**に合わせて進化した結果です。

ルートインが築いた基盤の上に、ホテルAZや旅籠屋といった新興チェーンが、価格やターゲットを尖らせて参入することで、地方の宿泊インフラはより多様で強固なものへと進化しています。

Post date : 2025.11.27 23:07