むるむる ブログ

主に旅について、それから色々

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なぜ“人と物を運ぶだけ”なのに、こんなに不安定なのか?

はじめに

「航空会社は儲かっていそう」
「飛行機は満席なのに、なぜ経営破綻?」

実は航空会社ほど、
売上が大きく、利益が薄く、リスクが集中する産業はありません。

これは経営者の能力不足ではなく、
業界そのものの構造問題です。


① 固定費が異常に高い(飛ばなくても金が出ていく)

主な固定費

  • 機材(購入・リース)
  • パイロット・整備士の人件費
  • 整備・保険・空港使用料
  • システム・訓練費用

✈️ 飛行機が1便も飛ばなくても発生する費用が膨大

→ コロナ禍で一気に経営破綻が出たのは、これが理由。


② 利益率が異常に低い

  • 航空業界の営業利益率:数%あれば優良
  • 他業界(IT、製造):10〜20%も珍しくない

なぜ薄利?

  • チケット価格は競争で簡単に下げられる
  • 燃料費・空港費用は下げられない
  • 満席でも赤字になる路線がある

つまり、

「満席=儲かる」ではない業界


③ 外的要因に弱すぎる

航空会社は自分ではどうにもできない要因に支配されます。

代表例

  • 燃料価格の高騰
  • 為替変動(ドル建て費用)
  • 戦争・テロ
  • パンデミック
  • 火山噴火・自然災害

👉 1つ当たるだけでも致命傷
👉 同時に来ると即死級


④ 設備投資が重すぎる

飛行機1機の価格

  • 中型機:100〜150億円
  • 大型機:300億円超

しかも

  • 数十年使う前提
  • 途中で市場が変わっても簡単に替えられない

需要予測を外すと、
**「売れない飛行機を抱え続ける地獄」**になります。


⑤ 価格競争が激しすぎる(特にLCC)

  • 座席は完全なコモディティ
  • 「安い方が勝つ」単純ルール
  • サービス差別化が難しい

結果、

  • 利益を削り合う
  • 体力のない会社から脱落
  • 業界再編が繰り返される

⑥ ハブ戦略に失敗すると詰む

航空会社は

  • ハブ空港
  • 乗り継ぎ需要
    に依存しています。

失敗例

  • 空港立地が悪い
  • 競合ハブに負ける
  • 政治・規制で自由に使えない

👉 路線網が育たず、規模の経済が働かない
👉 じわじわ赤字が積み上がる


⑦ 国策・政治に振り回される

航空は

  • 国家安全
  • 国威発揚
  • 外交

と深く結びついています。

その結果、

  • 不採算路線の維持
  • 政治判断での増便・減便
  • 国からの支援前提の経営

👉 民間企業なのに自由経営ができない
👉 中途半端に保護され、体質改善が遅れることも


⑧ 「大きすぎて潰せない」は、実は危険

  • 国が助けると思われる
  • 経営改革が遅れる
  • 問題を先送り

結果、
小さく潰れるはずだった問題が、大事故になる

過去の巨大航空会社破綻は、これが典型です。


それでも航空会社が生き残る条件

潰れにくい航空会社には共通点があります。

✔ 強力なハブ

  • エミレーツ(ドバイ)
  • シンガポール航空(チャンギ)

✔ 規模の経済

  • 大量発注
  • 高い稼働率

✔ 明確なポジション

  • 高級路線か
  • 徹底LCCか
  • 中途半端は一番危ない

おわりに

航空会社は「儲からないのが普通」

航空会社は

  • ロマンがあり
  • 社会的に重要
  • でも経営は超ハード

潰れない航空会社が優秀なのではない
そもそも潰れやすい業界で、生き残っているだけ

だからこそ、
航空会社のニュースは
「経営が悪い」ではなく
「構造的に厳しい業界」として見ると、本質が見えてきます。

Post date : 2026.01.15 17:11