むるむる ブログ

主に旅について、それから色々

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私たちは普段、「自由」をとても当たり前のものとして享受しています。


好きな時間に移動し、飛行機に乗り、鉄道を使い、海外とモノや人が行き交う――。

しかし世界の多くの国では、
自由は“前提”ではなく、“守り続ける対象”です。

そしてその意識は、軍事だけでなく、
空港・空路・鉄道・都市設計といったインフラの隅々にまで反映されています。

日本人があまり意識してこなかった
「安全の設計思想」を、世界と比較しながら見ていきましょう。


「安全」は祈るものではなく、設計するもの

日本では、事故やトラブルが起きると
「想定外だった」「まさかそんなことが起きるとは」という言葉がよく使われます。

一方、世界の多くの国では考え方が真逆です。

「最悪の事態は必ず起きる」
だから、起きても機能が止まらないようにする

これが、安全設計の出発点です。


空港が1つでは危険な理由

なぜモスクワには複数の巨大空港があるのか

モスクワには主要空港が複数存在し、
しかもそれぞれが物理的に大きく離れています。

これは不便だからそうなっているのではありません。

  • 有事
  • テロ
  • 災害
  • 空域封鎖

どれか1つが機能停止しても、都市全体が止まらないためです。

効率よりも、冗長性(バックアップ)を優先する発想です。


台湾海峡の空路が示す「現実」

台湾海峡周辺では、
軍事演習や緊張の高まりによって航空路が頻繁に変更されます。

結果として、

  • 飛行時間の延長
  • 燃料コストの増加
  • 欠航や遅延
  • 観光・物流への影響

が現実に起きています。

それでも各国は、
安全が確保できない空域を「使わない」選択をします。

これは政治的主張ではなく、
「人命と信頼を最優先する」という航空の原則です。


ヨーロッパの鉄道が「非効率」に見える理由

ヨーロッパの鉄道は、

  • 方面別ターミナル
  • 乗り換えの多さ
  • 運行系統の分断

など、日本人から見ると不便に感じる点が多くあります。

しかしこれは、

1つの障害が、全体に波及しないようにする設計

でもあります。

中央集約型は効率的ですが、
壊れた時のダメージが極端に大きくなる。

世界はそれを、歴史的に何度も経験してきました。


日本が「世界一スムーズ」になった代償

日本のインフラは、

  • 時刻表どおり
  • 接続が完璧
  • 無駄が少ない

という点で、世界最高水準です。

しかし同時に、

  • 1か所のトラブルで広範囲が止まる
  • 想定外に弱い
  • フレキシブルな変更が苦手

という側面も持っています。

これは技術力の問題ではありません。
思想の違いです。


自由を守るには「不便」を受け入れる覚悟がいる

世界では、

  • 空港の分散
  • 空路の冗長化
  • 鉄道系統の分断
  • 州や地域への権限分散

といった形で、
不便をあらかじめ受け入れる設計がなされています。

なぜなら、

自由とは「効率」ではなく、
選択肢が残されている状態だからです。


日本は「守らなくていい国」だったのか?

戦後の日本は、幸運でした。

  • 周辺国との全面衝突がなかった
  • インフラが攻撃対象にならなかった
  • 経済成長が続いた

その結果、

「何も起きない前提」で設計しても成立してしまった

とも言えます。

しかし、世界情勢が変わりつつある今、
この前提は揺らいでいます。


安全の設計は、自由の設計でもある

安全対策というと、

  • 制限
  • 監視
  • 管理

といったネガティブな印象を持たれがちです。

しかし世界では、

安全を設計することが、
自由を長く保つための条件

と考えられています。


日本人が今、知っておくべきこと

  • 世界は「起きる前提」で動いている
  • 効率一辺倒は、リスクでもある
  • 不便さは、自由の保険でもある

これを知るだけで、
ニュースの見え方、旅行の見え方、インフラの見え方が変わります。


おわりに

「自由を守る」という言葉は、抽象的に聞こえます。

しかし実際には、

  • 空港の配置
  • 空路の引き方
  • 鉄道網の作り方
  • 都市の分散

といった、極めて具体的な設計の積み重ねです。

日本はこれまで、
「守らなくても済んだ」国だったのかもしれません。

しかしこれからは、
どう守るかを選ぶ国になる時期に来ています。

Post date : 2026.01.20 09:38