むるむる ブログ

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アジアの空を見渡すと、二つのLCCブランドが目に入ります。

  • AirAsia:国ごとに増殖し、アジア全域に存在感
  • Jetstar:有名だが、広がり方は限定的

一見すると、

どちらもLCCで、どちらも安い航空会社

に見えます。

しかし結果は大きく分かれました。

この記事では、 「JetstarはなぜAirAsiaになれなかったのか」を、 経営能力や努力論ではなく、制度と構造、設計思想の違いから解説します。


結論:Jetstarは「拡張型LCC」ではなかった

先に結論です。

Jetstarは失敗したわけではありません。

ただし、

  • AirAsia=最初から“増える前提”の設計
  • Jetstar=既存航空会社の“延長線”

という根本的な違いがありました。

この差が、 「増殖できたLCC」と「できなかったLCC」を分けました。


出自の違い:JetstarはJALではなくQantasの子会社

Jetstarは、

  • オーストラリアのフルサービスキャリア
  • Qantas(カンタス航空)

のLCC部門として誕生しました。
(オーストラリアで、「カンタス」と言ってもほぼ通じません。「クワンタス」と言った方が、多分通じます)

ここが最初の分岐点です。

QantasにとってのJetstar

  • 本体ブランドを守るための防波堤
  • 価格競争用の別レーベル

つまりJetstarは、

競争対策として作られたLCC

でした。

一方、AirAsiaは

それ自体が本体

です。


Jetstarは「本社の影」が消えなかった

JetstarはLCCでありながら、

  • 親会社の意向
  • ブランドイメージ
  • 既存顧客との関係

を常に意識せざるを得ませんでした。

その結果、

  • LCCとして割り切れない部分
  • 国ごとに大胆に変えられない設計

が残ります。

AirAsiaは、 誰の顔色も伺わずにLCCを突き詰めることができました。


国境戦略の差:Jetstarは「慎重」、AirAsiaは「前提」

AirAsia

  • 国境を越えられないのは最初から分かっていた
  • だから最初から「国ごとに作る」モデル

Jetstar

  • オーストラリア発のブランド
  • 海外展開は“拡張”という位置づけ

この差は致命的でした。

Jetstarは、

  • 進出国ごとに調整
  • 親会社との整合
  • 政治的リスクを最小化

という、 ブレーキの多い展開にならざるを得ません。


機材と運用の「純度」の違い

AirAsiaは徹底して、

  • 単一機材
  • 単純な運航ルール
  • 同じ教育体系

を維持しました。

Jetstarは、

  • 親会社との機材共有
  • 路線ごとの例外
  • FSC的発想の混入

を完全には排除できませんでした。

結果、

どこでも同じLCC

を作りきれなかったのです。


日本市場が象徴する違い

Jetstar Japan

  • 規制
  • 労務
  • 空港コスト

すべてに苦しみ、

日本ローカルのLCC

として定着しました。

AirAsia Japan

  • モデルをそのまま持ち込もうとした
  • 結果、日本の制度と衝突

ここから見えるのは、

  • Jetstar=環境に合わせて変形
  • AirAsia=モデルを押し通す

という思想の違いです。


なぜ「なれなかった」のか

まとめると、

Jetstarは

  • 優等生すぎた
  • 大企業の文脈から逃げきれなかった

AirAsiaは

  • 乱暴でも一貫していた
  • 制度を利用する側に回った

どちらが正しいかではありません。

向いていた方向が違っただけです。


まとめ:LCCの勝敗は「安さ」では決まらない

Jetstarは失敗作ではありません。

しかし、

AirAsiaのように増える存在

には、 構造的になれなかった

LCCの成否を分けるのは、

  • 価格
  • 接客
  • イメージ

ではなく、

最初にどう設計されたか

です。

次にLCCを見たとき、

「どこの国の会社か」ではなく、 「どういう思想で作られたか」を見ると、

空の景色が、少し違って見えてきます。

Post date : 2026.02.04 23:02