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こんにちは!世界の情勢が航空路線に与える影響を追います。

2022年2月以降、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、欧米や日本など多くの国がロシア上空の飛行禁止措置を取りました。これにより、これまで最短距離で結ばれていたヨーロッパとアジアを結ぶ主要な航空路(シベリア上空)が突如として閉ざされるという、航空史上稀に見る大きな変化が起こりました。

今回は、この「ロシア上空の壁」によって、航空機が現在どのようなルートを辿り、私たちの旅にどのような影響が出ているのか、その舞台裏を解説します。

1. 🔀 劇的に変化した「北回り」ルートの現状

日本の航空会社やヨーロッパ系の航空会社にとって、シベリア上空の閉鎖は、特に日本とヨーロッパを結ぶ**「北回り(シベリア上空)ルート」**の利用ができなくなったことを意味します。

① 代替ルートの主要な選択肢

現在は、主に以下の二つのルートが主流となっています。

  • 南回りルート(中東・南アジア経由):
    • 中央アジア、中東(カザフスタン、イラン、トルコなど)、インド上空を通過し、南ヨーロッパへ向かうルート。
    • 特徴: 距離は伸びるものの、比較的多くの国で利用可能な航空路が確保できます。
  • アラスカ・太平洋横断ルート(北米経由):
    • アラスカ(アンカレッジ)や太平洋を越え、北米大陸の東側からヨーロッパへ向かうルート。
    • 特徴: 特に西海岸方面からヨーロッパへ向かう際に選択されますが、大幅に距離が伸びます。

② 飛行時間と燃料費の増加

代替ルートは、シベリア上空の最短ルートに比べ、飛行距離が数百km〜数千kmも長くなります。

  • 所要時間の増加: 日本からヨーロッパ主要都市への飛行時間は、通常より1時間半〜3時間程度増加しています。
  • コスト増: 飛行時間の増加は、燃料費の大幅な増加に直結します。このコスト増は、最終的に航空券の価格に反映される一因となっています。

2. ロシア系航空会社の特殊な状況

一方、ロシアの航空会社(アエロフロートなど)や、ロシア上空の飛行制限を課していない一部の国の航空会社は、引き続きロシア上空を利用しています。

  • 競争優位性: ロシア上空を利用できる航空会社は、最短距離で運航できるため、飛行時間と燃料費の面で大きな優位性を持っています。特にロシアとアジア各国を結ぶ路線で顕著です。

3. 🚨 航空機運航の安全性と気象リスク

ルートが変更されたことで、航空機の運航計画には新たな課題も生じています。

  • 天候への懸念: 北回りルートは上空の気流が安定していることが多いですが、代替の南回りルートでは、季節によっては乱気流やモンスーンなど、天候の変動が大きくなるエリアを通過する可能性があります。
  • 航続距離の限界: 一部の機材では、新しい長距離ルートを飛ぶために、燃料をより多く積み込む必要があり、それに伴って搭載可能な乗客や貨物の量が制限されるケースも発生しています。

4. 📝 まとめ:ルート変更が示す国際情勢の影響

ロシア上空の飛行禁止措置は、単なるフライトの遅延ではなく、世界の航空インフラと経済、そして私たちの旅に直接的な影響を与え続けています。

航空会社は、新たなルートの最適化とコスト削減に知恵を絞っていますが、この「壁」が取り払われない限り、東アジアとヨーロッパ間の移動は、しばらくの間、時間と費用の面で「遠い」旅であり続けるでしょう。

Post date : 2025.11.13 23:36