むるむる ブログ

主に旅について、それから色々

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かつて、若者の代名詞といえば「バックパッカー」や「青春18きっぷの旅」でした。しかし、近年、特に日本の若い世代(Z世代やミレニアル世代)の間で、時間と費用をかけて行う**「リアルな旅行」**をする人が減っていると言われています。

なぜ、若者は旅をしなくなったのでしょうか?その背景には、経済的な問題だけでなく、彼らが育ってきた社会環境と価値観の大きな変化が潜んでいます。

1. 💰 経済的な「コスパ」重視と未来への不安

若者が旅に出ない最大の理由は、やはり経済的な制約です。

  • 収入の停滞と奨学金: 非正規雇用の増加や初任給の伸び悩み、そして重くのしかかる奨学金の返済など、可処分所得が限られています。この状況で、旅は「贅沢品」と見なされがちです。
  • 「コスパ」の悪さ: 若者は、旅にかかる費用対効果(コストパフォーマンス)を厳しく判断します。数万円をかけて現地に行くよりも、同じ費用で高機能なガジェットや趣味に投資する方が、長期的な満足度が高いと考える傾向があります。

2. 🤳 リアルな旅を凌駕する「代替体験」の浸透

テクノロジーの進化が、旅の「必要性」を薄れさせています。

  • バーチャル体験の進化: VR(仮想現実)や高解像度の動画、ライブ配信の普及により、居ながらにしてリアルに近い体験が可能になりました。手間やリスクをかけずに「疑似旅行」を体験できます。
  • SNSでの「満足」の完結: 他人の旅の情報をSNSで見るだけで、**「旅をしたつもり」**になってしまう側面があります。また、「映える写真」を撮るためだけの旅行は、そのプレッシャーと費用から敬遠されつつあります。

3. 🚨 「時間と手間のリスク」に対する過度な回避志向

現代の若者は、失敗や非効率なプロセスを避けたいという傾向が強いと言われています。

  • 時間効率の重視: 旅は、移動や準備に多くの時間と労力がかかります。タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する若者は、即座に満足が得られない旅を非効率だと感じる傾向があります。
  • 情報過多による不安: インターネットで全ての情報が手に入る時代だからこそ、逆に**「失敗したくない」**という心理が強くなります。完璧な計画を立てるストレスや、トラブルへの不安から、結局、慣れた場所や近場で済ませてしまうのです。

4. 🏘️ 「コミュニティ」の再定義

旅で「新しい出会い」を求める必要性が薄れています。

  • 趣味のコミュニティの充実: リアルな移動を伴わなくても、SNSやオンラインゲームを通じて、全国・全世界の人々と簡単に繋がれる時代になりました。共通の趣味を持つコミュニティがオンライン上で強固に存在するため、旅先での偶発的な出会いへの期待値が低くなっています。

📝 まとめ:旅の「価値」をどう再定義するか

若者が旅をしなくなった理由は、彼らの怠惰ではなく、変化した社会経済的な構造と、テクノロジーによる新しい価値観にあります。

旅を再び魅力的にするためには、「コスパの悪さ」を凌駕する、**「リアルな体験でしか得られない深い感動」「自己成長に繋がる投資」**としての価値を提示し直すことが、観光業界にとって急務となっています。

Post date : 2025.11.16 22:56