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――この夢のような高速鉄道計画、リニア中央新幹線は、JR東海が社運をかけて進める国家的なプロジェクトです。しかし、その裏側では、高額な建設費、難航する工事、そして地域との軋轢など、多くの課題が山積しています。

今回は、リニア中央新幹線が「いつ開通するのか」「本当に実現するのか」という核心に迫りつつ、さまざまな問題点と東海道新幹線との関係性について徹底解説します。


1. 🗓️ リニアは「いつ開通する?」— 難航する工事と計画の現状

当初、2027年の開業を目指していたリニア中央新幹線ですが、現在、その計画は大幅に遅延しています。

① 大幅な開業遅延の要因

  • 静岡工区の問題: 静岡県内の南アルプストンネル工事において、大井川の水資源への影響を懸念する静岡県との協議が難航。着工に必要な県知事の許可が得られていないため、静岡工区は現在も未着工です。
  • 工期の長期化: リニアのルートの約9割がトンネルとなるため、大規模な掘削と残土処理が必要であり、想定以上に工期が長期化しています。

② 現在の見通し

JR東海は「2027年開業は困難」としており、現時点では具体的な開業時期を明示していません。静岡工区の着工がなければ、2030年代半ば以降にずれ込む可能性も指摘されており、事実上、静岡工区の進展が全体の鍵を握っています。


2. 💰 巨額の建設費と事業の持続性

リニア計画の総事業費は、約7兆円超という途方もない額に上ります。JR東海は、国からの財政支援もありますが、この巨額の投資を自社資金と借り入れで賄おうとしています。

  • 高額化の背景: 地下深くに駅を建設する「大深度地下」の利用、そして難易度の高いトンネル工事が費用を押し上げています。
  • 経済的な賭け: JR東海にとって、リニアは東海道新幹線の老朽化対策大規模災害時のバイパス機能という「保険」の役割も持ちますが、投資回収には非常に長い期間、高い乗車率を維持する必要があります。

3. ❄️ 雪対策は万全か?リニアならではの課題

リニアの走行原理は、従来の鉄道とは全く異なるため、独自の課題と対策が必要です。

  • 浮上走行の原理: リニアは電磁石の力で車体を浮上させて走行するため、軌道と車体が接触しません。
  • 雪・着氷への対策:
    • 軌道構造の保護: 軌道がU字型の溝状になっており、外部の雪や雨から浮上・推進コイルを保護する構造となっています。
    • 着氷対策: 浮上・案内用の超電導コイルや地上コイルへの雪や氷の付着を防ぐための、ヒーターなどの対策が設計に組み込まれています。従来の車輪走行とは異なるため、独自の厳重な対策が求められています。

4. 🔗 東海道新幹線との関係性:リニアの真の目的

リニア中央新幹線は、単なる「速い新幹線」ではありません。その真の目的は、東海道新幹線が抱えるリスクの解消にあります。

  • 老朽化対策: 1964年開業の東海道新幹線は、半世紀以上が経過し、大規模なリニューアル工事が避けられません。リニアが開業すれば、東海道新幹線の大規模修繕期間中の代替輸送が可能になります。
  • 災害時リスクの分散: 東海道新幹線は、東海地震などの大規模災害発生時、広範囲で運行停止となるリスクがあります。リニアがバイパス路線となることで、東京〜名古屋間の輸送機能を維持し、日本の経済活動の停止を防ぐという極めて重要な役割を担います。

5. 📝 まとめ:リニアの未来は「対話」と「技術」次第

リニア中央新幹線は、日本の技術力の結晶であり、日本の大動脈の未来を左右するプロジェクトです。

しかし、「いつ開通する?」という問いの答えは、技術的な困難さよりも、**「環境問題や地域との対話」**をJR東海がどう進めていけるかにかかっています。

巨額の投資に見合う持続可能な未来を築けるのか、今後の動向から目が離せません。

Post date : 2025.11.18 16:27