主に旅について、それから色々
新幹線で時速300kmの世界から、たった1両のディーゼルカーで時速25kmの秘境へ——。
先日、私はとあるミッションを胸に、大阪から丸一日かけて山奥の駅を目指しました。その目的地とは、JR西日本が誇る究極の秘境駅「備後落合(びんごおちあい)駅」です。
ただの秘境駅巡りではありません。この旅は、現代の日本のローカル線が抱える「目を背けたくなるような厳しい現実」を、体当たりで体験する旅でした。そして、その核心にあるのが、目を疑うほどの赤字を示す「営業係数」です。
あなたの想像を遥かに超える、日本の鉄道の「リアル」をご覧ください!
備後落合駅は、芸備線、木次線が接続する広島と岡山の県境近くの山中に位置します。大阪からの道のりは、まさに「文明から自然へ」と段階的にギアを落としていく壮大な旅でした。
旅は、新大阪駅から山陽新幹線「みずほ」で一気に岡山へ。[01:55]
岡山からは、快適な特急「やくも」に乗り換え、山陽の賑わいを横目に、だんだんと山陰方面へと進んでいきます。
特急の旅も終わり、いよいよ旅の本番、ローカル線への乗り継ぎ駅である新見駅へ。[14:47]
ここから乗るのは、わずか1両編成のディーゼルカーです。新幹線・特急と乗り継いできた体には、このギャップがたまらないワクワク感をもたらします。
しかも、この新見から備後落合まで直通する列車は、1日にたった3本。
これを逃せば終わりという、緊張感もまた旅の醍醐味です。[15:39]
新見から備後落合へ向かう芸備線は、単なるローカル線ではありません。日本の鉄道ファン(特に財務ファン?)の間では、「日本屈指の赤字路線」としてその名が知られています。
新見から途中の東城までの区間で、すでに営業係数は「2,843」を叩き出しています。[29:38]
これは、100円の運輸収入を得るために、2,843円もの費用がかかっていることを意味します。この時点で、すでに公共交通としての機能は厳しいと言わざるを得ません。
しかし、本当の衝撃は、終点の備後落合へ向かう東城〜備後落合間でした。
なんとこの区間、営業係数は驚異の「17,666」。 つまり、100円稼ぐのに17,666円かかるという、もはや鉄道事業として成立しているとは言い難い、悲痛な数字が突きつけられます![35:02]
車窓の景色はどんどん人里離れ、途中には時速25kmの速度制限区間も登場します。[31:56]
新見駅で乗り込んだ乗客は私を含めて3人でしたが、最終的に終点まで乗り通したのは私を含め2人。しかも、二人とも「通りすがりの観光客」でした。
地域住民の生活利用がないという、この事実が、数字のリアルを物語っています。[35:14]
ようやくたどり着いた終着駅、備後落合駅。[01:18:50]
人里離れた山の中とは思えないほど広い構内は、かつてここで多数の列車が往来し、賑わっていた「栄華の歴史」を今に伝えています。
そして、この駅のハイライトは、3方向からの列車が一度に集まる「一日一回の瞬間」です。[01:19:56] この厳しい状況にあっても、芸備線と木次線の列車がここで交差し、それぞれの方向へと折り返していく姿は、まさにローカル線が守り抜く「鉄道のロマン」を感じさせます。
この旅は、ただ目的地に着くことが目的ではありませんでした。日本が誇る新幹線から、消滅の危機に瀕しているローカル線まで、「日本の鉄道の多様性」と「移動の時間の価値」を体験すること。
営業係数17,666円という数字は、この路線が公共交通として役割を終えようとしている現実を示しています。
しかし、この壮大な旅路と、秘境の駅で感じるロマンは、デジタルな検索では決して見つからない、かけがえのない価値を秘めているのです。
この路線がいつまでも走り続けることを願い、ぜひ一度、この「挑戦の旅」に出かけてみてください!
▼この壮絶な旅の全貌はこちらから!▼
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