主に旅について、それから色々
大阪ミナミの中心地の なんば と、真言宗の山岳宗教寺院地域 高野山、この2点をつなぐのが、南海電鉄の路線、高野線です。
「大手私鉄なのに、まるでローカル線のような“森の中の無人駅”がたくさんある」――それが高野線の最大の“ギャップ”。
たとえば紀伊神谷駅は、昭和期から存在する駅ながら“無人駅・秘境駅”として知られ、駅前に民家はほとんどなく、夏でも薄暗い森の中に囲まれている、そんな雰囲気。
「なぜこんな“秘境駅だらけ”の状態ができたのか?」——これには、単なる「駅の存在」だけでなく、“路線の歴史”“地形と地勢”“社会的・経営的背景” が複雑に絡み合っているから、なのです。
高野線は、かつて複数の私鉄・路線の合併と延伸を経て作られた広域路線であり、出発地は大阪の市街地、終点は和歌山・山岳地帯の聖地・高野山方面。つまり――
が、同じ路線に混在しているのです。
特に、和歌山県の橋本駅から終点極楽橋駅にかけては勾配・高低差が大きく、自然豊かな紀伊山地を縫うように走る“まさに山岳鉄道区間”。標高差が443メートルにもなる区間もあります。
このように、都市近郊の“街乗り路線”と、“山岳ローカル路線”が一本でつながっている――その「構造の複雑さ」が、秘境駅や無人駅の土壌を生んでいます。
森や山を抜ける区間は、当然ながら沿線の人口密度は低く、集落もまばら。駅を利用する人も限られます。たとえば、極楽橋に近い駅では、1日の乗降人員がごくわずか(数十人〜数百人単位)という例もあります。
── 駅を“有人のまま”維持するには、駅員の人件費や管理コストなどがかかる。にもかかわらず利用者が少なければ、採算が合わない。
その経営的な現実の前に、無人化は合理的な選択となる。高野線では実際、かつて有人だった駅が最近になって無人化されたケース(たとえば紀伊神谷駅)が報告されています。
つまり――“山岳+低利用”の区間では「秘境駅&無人駅化」が自然な帰結だった、というのが第一の“構造的理由”です。
「大手私鉄なのに秘境駅だらけ」は、決して鉄道ファンの冗談や都市伝説ではありません。実際、鉄道趣味誌や各種メディアでも、“山深く、人も少ないけど駅だけがぽつんとある”高野線の区間は「秘境駅エリア」として紹介されています。
また、観光面でもこの構造は逆に“魅力”とされており、終点の極楽橋から高野山方面を訪れる観光ルートのなかで、「山岳鉄道らしい旅情」を演出する重要な要素となっています。高野線の山岳区間は“ただの交通手段”ではなく、「鉄旅」「聖地巡礼」「自然との対話」の旅路――それを支える“秘境駅だらけの路線”なのです。
つまり「秘境駅が多い」のは、偶然でも事故でもない。路線構造、地形、沿線状況、そして経営判断――複数の要素が重なって生まれた「必然」なのです。
他の私鉄やJRのローカル線にも無人駅・秘境駅はありますが、以下の理由で高野線は「“秘境駅の宝庫”として特に際立つ」――そう言えます。
これらすべてが「“大手私鉄のロマン枠”」を形作っているのです。
高野線に秘境駅が多く存在するのは、偶然の産物でも、単なる人手不足の断片でもない。
都市と山をつなぐ複合路線の性質 + 地形と沿線事情 + 経営判断――
それらが重なって生まれた、ある種“計算ずくのロマン”なのだ。
もしあなたが「大手私鉄なのに秘境駅だらけってどういうこと!?」と驚くなら――それは“高野線の設計思想”と“地域の条件のリアルさ”を理解した証拠です。
次に高野線に乗るときは、ぜひ “街の喧騒 ⇆ 山の静けさ” のギャップを感じつつ、秘境駅をひとつずつ数えてみてください。 きっと、ただの移動では味わえない「鉄道の奥深さ」「日本の自然と歴史の断片」が見えてくるはずです。
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