主に旅について、それから色々
オーストラリアやニュージーランドからヨーロッパへ向かうルートは、地理的に「地球上で最も長い空の旅」の一つです。
特にロンドン(ヒースロー)は、両国にとって歴史的・文化的に非常に重要な目的地であり、「究極のフロンティア」として存在します。
今、カンタス航空(Qantas)とニュージーランド航空(Air New Zealand)の二大キャリアは、このロンドンをターゲットに、超長距離便(Ultra Long Haul / ULH)の展開に命を懸けています。
なぜ彼らは、ここまでしてロンドンを目指すのか?その背景には、単なるビジネスではない、地理的制約の克服とナショナルキャリアとしてのプライドが隠されています。
カンタス航空にとって、ロンドンへの直行便は長年の夢であり、「プロジェクト・サンライズ(Project Sunrise)」という名の国家プロジェクトに近い壮大な計画として進行しています。
現在、シドニーやメルボルンからロンドンへ行くには、必ずアジア(シンガポールなど)や中東(ドバイなど)で最低1回以上の乗り継ぎが必要です。
カンタスは、第二次世界大戦後からシドニーとロンドンを結ぶ長距離路線を「カンガルー・ルート」と呼び、その運航を誇りとしてきました。この象徴的なルートを、歴史上初めて直行便で結ぶことは、カンタスが世界の航空界の「フライト・ルーラー(支配者)」であることを内外に示す行為なのです。
ニュージーランド航空(NZ)のロンドン戦略は、カンタスの「直行」とは少し異なります。彼らは、乗り継ぎ(ワンストップ)の利便性を極限まで高めることに注力しています。
ニュージーランドは地球上で最も孤立した国の一つです。オークランド(AKL)からロンドンへの直行便は、航続距離と天候の厳しさから技術的に極めて困難です。
ヨーロッパからの旅行者にとって、北米最大のハブであるJFK経由でオークランドへ向かうルートは非常に魅力的です。ニュージーランド観光を促進し、ヨーロッパ市場からのインバウンド需要を取り込む上でも、ロンドンへの接続強化は不可欠なのです。
超長距離便(ULH)は、単に飛ぶだけでなく、採算を取ることが極めて難しいビジネスです。カンタスとNZがロンドン路線で成功するには、以下の課題克服が不可欠です。
20時間近いフライトでは、エコノミークラスの単価では燃料費すら賄えません。成功の鍵は、ビジネスクラスやファーストクラスといった「プレミアム需要」の獲得にあります。
ULHは、大量の燃料を積む必要があり、その分、運べるペイロード(貨物や乗客)が制限されます。両社は、最新鋭機材の導入と、高度な運航計画によって、この制約を乗り越えようとしています。
カンタスとニュージーランド航空がロンドンを目指すのは、単なる路線開拓ではありません。カンタスは**「最も速く、直行で」という究極の挑戦、ニュージーランド航空は「最も効率的で快適な接続で」**という地理的制約への挑戦です。
彼らの ULH への取り組みは、人類が長年抱えてきた「距離の壁」を打ち破り、世界をより小さく、より身近にするための壮大なフロンティアなのです。
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