主に旅について、それから色々
——欧米や日本とは何が違うのか?
モスクワには、なぜこれほど多くの空港があるのか。
そして、なぜそれらは統合されず、乗り継ぎも不便なままなのか。
実際にモスクワを経由したことのある人なら、一度はこう思ったはずです。
「これ、乗り継ぎ不便すぎないか?」
結論から言えば、その感覚は正しい。
しかし同時に、その不便さは意図されたものでもあります。
モスクワの空港分散は、
欧米や日本とはまったく異なる国家観・都市観・安全保障思想から生まれたものなのです。
現在、モスクワには国際線を扱う主要空港が3つ存在します。
これらは単なる「サブ空港」ではなく、
それぞれが国際線・国内線を担う独立した巨大空港です。
ロシアは世界最大の国です。
この国では、航空は「補助交通」ではなく、
国家をつなぐ生命線です。
モスクワは、
1空港集中では、
物理的にも運用的にも限界がありました。
ここが、最も重要なポイントです。
ソ連時代において、空港は
でした。
あらゆるリスクに対し、
「一つ壊れても、都市機能が止まらない」
ことが最優先だったのです。
そのため、
という構造になりました。
モスクワの空港分散政策では、
が前提でした。
つまり、
モスクワで空港を移動して乗り継ぐ
という発想自体が、
ほぼ考慮されていなかったのです。
これは欠陥ではなく、思想の違いです。
正直に言えば、不便です。
そのため現実的には、
といった対応が取られています。
ここで視点を変えてみましょう。
これは、
に基づく思想です。
一方、モスクワは違います。
つまり、
「不便でもいい。壊れないことが正義」
という思想。
これは、
冷戦を生き抜いた大陸国家ならではの合理性でした。
| 都市 | 空港思想 |
|---|---|
| 東京 | 利便性・効率重視 |
| パリ | 集中+補助空港 |
| ロンドン | 機能分散+鉄道接続 |
| モスクワ | 分散・冗長性・軍事優先 |
東京やパリは、
「便利で速い」ことを最優先にします。
モスクワは、
「最後まで生き残る」ことを最優先します。
はい、少しずつ変わっています。
ただし、
といった方向には、
今のところ進んでいません。
それはつまり、
分散思想そのものは、今も有効と考えられている
ということでもあります。
モスクワの空港分散政策は、
ではありません。
それは、
から生まれた、極めて一貫した都市設計です。
旅客にとっては不便でも、
国家にとっては合理的。
この違いこそが、
モスクワという都市が、
欧米や日本とはまったく違うロジックで作られている証拠
なのです。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
| 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
| 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
| 29 | 30 | 31 | ||||