主に旅について、それから色々
世界の鉄道を見渡すと、ひときわ異質な存在がある。
それが、**ロシアおよび旧ソ連諸国の「広軌鉄道」**だ。
ヨーロッパの多くが採用する標準軌(1,435mm)よりも明らかに広い、1,520mm。
なぜロシアはこの軌間を選び、そして今なお変えないのか。
それは単なる技術選択ではなく、地理・軍事・経済を含んだ国家戦略そのものだった。
まず基本から整理しよう。
ロシアの鉄道網は、世界でも最大級の路線延長と貨物輸送量を誇る。
その基盤となっているのが、この「広軌」だ。
ロシアが本格的に鉄道を敷設し始めた19世紀、
ヨーロッパではすでに標準軌が広まりつつあった。
しかしロシアは、あえて同じにしなかった。
理由の一つは、
を重視した設計思想だとされている。
結果として、ヨーロッパと“わずかに違う”軌間が選ばれた。
ロシアの鉄道は、
という特徴を持つ。
広軌は、
という利点があり、
シベリア鉄道のような路線には非常に合理的だった。
ロシアの鉄道は、
といった厳しい環境にさらされる。
広軌は、
という点で、自然条件への適応という側面もあった。
そして、最も重要とも言われるのが軍事的理由だ。
軌間が違うということは、
ということを意味する。
実際、第二次世界大戦の独ソ戦では、
の違いが、兵站に深刻な影響を与えた。
つまり広軌は、
「鉄道インフラそのものが防衛線」
でもあったのだ。
ロシアだけではない。
旧ソ連圏の多くが、今も広軌を維持している。
これは、ソ連時代に統一された巨大インフラの名残でもある。
問題はない。
ここで軌間の違いが発生する。
代表例:
理由:
👉 貨物は効率優先、旅客はサービス優先
例外的な存在もあった。
かつて、
を使った列車が運行されていた。
これにより、
が可能だった。
これは、
であり、広く普及する方式ではなかった。
寒冷地での保守性、コスト、構造上の制約から、
ロシア鉄道全体の標準解にはなっていない。
ロシアと旧ソ連の広軌は、
これらが重なった結果だ。
軌間は、単なるレール幅ではない。
広軌とは、
ロシアがロシアであり続けるためのインフラ設計思想
なのである。
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