むるむる ブログ

主に旅について、それから色々

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航空業界最大の“空白セグメント”

1. ボーイング757とは何だったのか

ボーイング757は、1980年代に登場した中型・単通路機です。

しかし、単なる「中型機」ではありませんでした。

757の特異なポジション

  • 単通路機なのに
    • 航続距離が非常に長い
    • 高出力エンジンで短距離滑走路でも離陸可能
  • 座席数:180~230席
  • 航続距離:最大約6,400km

つまり、

737では届かない、767ほど大きくない
その「ちょうど間」を唯一埋めていた機体

これが757です。
日本の航空会社は採用しなかったので、日本ではあまり見かけなかった飛行機でもあります。

767と姉妹機であり、コックピットが共通の仕様でした。


2. なぜ757は生産終了したのか

理由①:燃費が悪かった

757は高性能だが重い機体でした。
双発ワイドボディに近い構造を、単通路で実現していたためです。

燃料価格が高騰した2000年代以降、

  • 航空会社は「性能より燃費」を重視
  • 737やA320で十分な路線が増加

理由②:後継を「737で代替できる」と誤認した

ボーイングは、

  • 737NG → 737MAX で十分代替できる
    と判断しました。

しかし実際には、

  • 航続距離
  • 高温・高地空港性能
  • 積載能力

の面で、757の代替にはなりませんでした。


3. 757の後継機が「作れなかった」本当の理由

理由①:市場が小さすぎた

757は名機ですが、

  • 世界的にはニッチな存在
  • 多くの航空会社は「737 or A320で十分」

開発費数兆円をかけるほどの市場規模がなかった。


理由②:単通路で“あの性能”を出すのが難しすぎる

757は、

  • 強力なエンジン
  • 頑丈な主翼
  • 重構造

これを現代の

  • 騒音規制
  • 排出規制
  • 燃費要求

すべて満たしながら再設計するのは、技術的にかなり難しい


理由③:ボーイングが「737延命」に賭けすぎた

本来、

  • 737は限界
  • 新設計単通路機が必要

と分かっていながら、

  • コスト
  • 開発リスク
  • 株主圧力

により、MAXで引っ張る判断をした。

結果:

  • 757後継は作られず
  • 737MAXは限界設計となり、事故へ

4. それでも今、757後継が再注目される理由

長距離単通路(Narrowbody Long Range)の需要爆発

近年、

  • 大西洋横断
  • 中距離国際線
  • 二次都市同士の直行便

が増えています。

ここで必要なのが、

180~220席・長距離・高性能

まさに757の領域です。


エアバスはA321LR / XLRで“半分だけ”埋めた

エアバスは、

  • A321LR
  • A321XLR

でこの市場を狙いました。

しかし、

  • 離陸性能
  • 積載量
  • 運用余裕

では、完全に757級ではないという評価も多い。


5. では「次の757」は作られるのか?

ボーイングの検討案:NMA(New Midsize Airplane)

かつて検討された

  • NMA(797構想)

これは、

  • 220~270席
  • 5,000nm級
  • 双通路 or 太め単通路

という完全757後継+αでした。

しかし現在は:

  • 開発凍結状態
  • 財務・品質問題で余裕なし

6. 結論:757は「時代を先取りしすぎた名機」

ボーイング757は、

  • 市場が成熟する前に生まれ
  • 技術的に難しすぎ
  • 経営判断にも翻弄された

“早すぎた完成形”でした。

だからこそ今も、

「なぜ757の後継は存在しないのか?」

という問いが、
航空業界で語られ続けているのです。

Post date : 2026.01.04 16:12