主に旅について、それから色々
イスラム教の礼拝堂「モスク」。 高くそびえるミナレット(塔)と、幾何学模様のドーム。その威厳ある姿を前に、「自分のような異教徒が足を踏み入れてもいいのだろうか」と躊躇したことはありませんか?
確かに、聖地メッカのように非ムスリムの立ち入りが厳格に禁じられている場所もあります。しかし、世界各地のモスクを訪ねてみると、そこには「排除」とは真逆の、イスラム教徒の深いホスピタリティが隠されています。
今回は、知られざる「モスクの観光学」を考察してみましょう。
よく知られているように、サウジアラビアのメッカ(禁制モスク)はイスラム教徒にとっての究極の聖域であり、特別な場所です。イスラム教徒以外の立入りは禁じられています。
しかし、それ以外のモスクは、実は「地域コミュニティの広場」としての性格を強く持っています。
これらは世界的な観光名所でもあり、毎日数千人もの非ムスリムが訪れます。彼らにとって、モスクに人を招き入れることは、自分たちの信仰や文化を正しく知ってもらうための「ダアワ(伝えること)」という大切な行為でもあるのです。
祈りを捧げているムスリムの横を、カメラを持った観光客が通り過ぎる。彼らはその光景をどう感じているのでしょうか。
スペイン、アンダルシア地方にあるメスキータ(コルドバの聖マリア大聖堂)についても触れておきましょう。
ここは、かつてイスラム教のモスクだった建物が、レコンキスタ(国土回復運動)によってキリスト教の教会へと造り替えられたという数奇な歴史を持っています。
この場所が現在「教会」として機能していることは、イスラム教徒にとって歴史的な喪失感の一面を持つことも事実です。しかし、その複雑な層が織りなす建築の美しさを、世界中の人々が称賛し続けているという事実は、宗教を超えた「美の力」を象徴しているとも言えます。
私たちがモスクで感じる「入りにくい雰囲気」の正体は、拒絶ではなく、そこに流れる「濃密な祈りの時間」への圧倒なのかもしれません。
しかし、実際に勇気を出して一歩中へ入り、冷たい大理石の床に座ってみれば、そこには教会の荘厳さとはまた違った、どこか家庭的で平穏な空気が流れていることに気づくはずです。
「知らないから怖い」という壁を取り払い、お互いの聖域を尊重し合う。観光という行為は、その最も平和的な第一歩になるのではないでしょうか。
もし旅先でモスクを見かけたら、入り口のスタッフに「非ムスリムですが、見学してもいいですか?」と尋ねてみてください。
多くの場所で、彼らは「もちろんです。ようこそ」と笑顔で答えてくれるでしょう。そのとき、あなたはきっと、メディアで見るのとは違う、イスラム文化の本当の「柔らかさ」に触れることができるはずです。
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