むるむる ブログ

主に旅について、それから色々

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前回、ANAがハワイ路線に特化してA380を導入した戦略的理由について解説しました。

※本題に入る前にお断りしておきますが、今回の内容には一般的に公表されているわけではない業界内の噂、推測やフィクションも多分に含まれています。
ですので、必ずしも真実とは言い難い部分も含まれています。

その点、予めご承知おきください。


このブログは前回の続編(後編)という構成になっています。前編にあたるブログを先に読みたい場合は、こちらを先に読んでからお越しください。


A380の導入には、単なるハワイ戦略だけではない、日本の航空業界における**「大人の事情」**が深く関わっています。

その背景には、経営破綻したスカイマークが、かつてエアバスに発注し、キャンセルした巨大機A380の存在があります。

1. 💔 スカイマークの「夢」とA380の挫折

ANAがA380を導入するより前、日本の航空会社で初めてA380を導入しようとしていたのは、新興航空会社のスカイマークでした。

  • 無謀な挑戦: スカイマークは、国際線進出のシンボルとしてA380を6機発注しました。しかし、これは同社の**「身の丈に合わない」**巨額な投資となり、その後の経営悪化と円安が追い打ちをかけます。
  • エアバスとの軋轢: 経営の悪化に伴い、スカイマークは発注の延期やキャンセルをエアバスと交渉しましたが、難航。最終的にエアバス側が契約を解除し、スカイマークは巨額の違約金を巡る問題に直面し、2015年1月に民事再生法の適用を申請しました。
  • 宙に浮いた機体: スカイマーク向けに製造が進んでいたA380の初号機や2号機は、すでに初飛行を終えるなど完成間近でした。これらの機体は、行き場を失い、エアバスにとって大きな在庫リスクとなりました。

2. 🤝 ANAによる「救済と引き受け」という名の交渉

この「宙に浮いたA380」と、経営再建中のスカイマークがANAに支援を求めたことが、ANAのA380導入に繋がったと見られています。

  • 再建支援: スカイマークの経営再建において、ANAはスポンサーとして支援を表明しました。この再建計画を進める上で、エアバスとの関係修復が重要な課題となりました。
  • A380の引き受け: ANAがエアバスとの交渉で、スカイマークがキャンセルしたA380の一部(3機)を引き受けるという形で、エアバス側の損害を軽減する役割を担ったとされています。これにより、エアバスとの関係を良好に保つとともに、スカイマークの再建にも協力する形を整えたのです。

3. ✨ ANAにとっての「一石二鳥」戦略

ANAは、スカイマークのキャンセル機材を引き受けるという**「大人の事情」**をクリアしつつ、同時に自社の戦略的な目標も達成しました。

  • コスト優位性: すでに製造が進んでいた機体を引き受けることで、価格面や納期面で有利な交渉ができたと推測されます。通常、新規でA380を発注するよりも、割安で手に入れられた可能性が高いです。
  • ハワイ戦略の実現: スカイマークからの機材引き受けは、ANAが長年実現したかったホノルル線での圧倒的なシェア獲得という戦略を、一気に実現する「ゲームチェンジャー」として機能しました。

📝 まとめ:裏側に見る航空業界の複雑さ

ANAによるA380の導入は、表面上は「ハワイ戦略」でしたが、その裏側には、経営破綻したライバルとの関係、巨大機メーカーとの複雑な債務処理、そして日本の航空業界の再編という、多くの要素が絡み合った結果だったと言えます。

「空の女王」ホヌの華やかなデビューの裏には、こうした複雑な「大人の事情」が隠されていたのです。

Post date : 2025.11.15 22:40