主に旅について、それから色々
コンコルド退役以来、世界の空から姿を消していた超音速旅客機。
その歴史を塗り替えるべく、アメリカのブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic)社が開発を進めているのが、次世代超音速機**「Overture(オーバーチュア)」**です。
Overtureは、東京ーロサンゼルス間を現在の約半分、約6時間で結ぶことを目指しており、日本航空(JAL)も導入を検討していることから、私たちにとって非常に身近な存在になりつつあります。
しかし、日本でOvertureがコンコルドのように空を飛び回るためには、いくつかの大きな壁があります。今回は、Overtureの展望と、日本での就航の可能性を分析します!
Overtureは、単に速さを追求したコンコルドの再来ではありません。技術革新により、現代の課題を克服することを目指しています。
Overtureはすでにユナイテッド航空やアメリカン航空などから受注を得ていますが、日本でもJALが先行発注(オプション)を検討しています。これは、「時間価値」を重視する日本の航空需要が極めて高いことを示しています。
Overtureが日本で自由に超音速飛行を行うための最大の障害は、技術的な問題ではなく、法規制にあります。
航空機が音速(マッハ1)を超えると、機体から強力な衝撃波が発生し、地上に大きな爆発音となって届きます。これが**「ソニックブーム」**です。
この規制がある限り、Overtureが東京や大阪の上空でマッハ1.7を出すことはできません。日本の空港に離着陸する際は、通常の旅客機と同様に亜音速(マッハ1未満)で運行する必要があります。
では、Overtureは日本で飛び立っても、意味がないのでしょうか?答えは「NO」です。その役割は、洋上での飛行にあります。
Overtureの最大の価値は、太平洋などの洋上に出た後に発揮されます。ソニックブームが地上に届く心配がない洋上では、マッハ1.7での飛行が許可される見込みです。
ブーム社は、着陸時の騒音についてもコンコルドよりも抑える設計を追求しています。日本の主要空港への就航は、着陸時の騒音が現在の規制値をクリアできるかが、重要な条件となります。
Overtureは、日本の空で自由に飛び回ることはできませんが、国際線において**「時間」の概念を根底から変える可能性**を秘めています。
このプロジェクトの成功は、単に速さの競争ではなく、環境規制や騒音問題といった現代の課題をどこまで克服できるかにかかっています。Overtureが日本の空港に降り立つ日は、間違いなく私たちの旅のあり方を一変させるでしょう。
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