主に旅について、それから色々
「日本はモビリティ大国だ」
これは半分、本当で、半分は誤解だ。
自動車、鉄道、船舶、航空機部品――
日本はあらゆる“動くもの”に深く関わっている。
しかし不思議なことに、世界を代表する“完成機ブランド”は意外と少ない。
なぜ日本は、
モビリティ産業で圧倒的な技術力を持ちながら、完成機では勝ち切れないのか?
結論から言えば、まったく逆だ。
それでも、日本はこう言われがちだ。
「日本は完成機メーカーが育たない」
これは事実だが、能力不足ではない。
日本は、
といった、極めて難易度の高い航空機を自力で開発・量産してきた国だ。
「このクラスが作れるなら、旅客機も作れるのでは?」
これは技術的には正しい。
しかし、民間旅客機には“別の壁”がある。
民間航空機の世界では、
の認証がなければ、1機も売れない。
この認証は、
まで含めて審査される。
三菱スペースジェット(旧MRJ)が直面したのは、
「飛行機が飛ばない問題」ではなく、「組織として認証に耐えられない問題」だった。
完成機メーカーは、
必要がある。
つまり、
完成機メーカーとは「技術会社」ではなく「責任会社」
なのだ。
日本企業はここを極端に嫌う。
では、なぜトヨタは勝てたのか?
それは、
という、奇跡的に恵まれた条件が揃っていたからだ。
航空機・船舶・鉄道は、
最初から国際政治と直結する産業である。
日本の鉄道メーカーは、
まで含めて売る。
つまり、
完成機ではなく「運行哲学」を売っている
これが、英国で日立製車両が成功した理由でもある。
三菱重工は、
では世界トップクラスだ。
それでも、
クルーズ客船では大失敗した。
理由は単純で、
だったからだ。
日本は、
といった、完成機の“最重要部分”を押さえるのが異常に強い。
エンブラエルの主翼
ボーイングの複合材
エアバスの部品
世界中の高速鉄道の制御装置
――ほとんどに日本が関わっている。
日本のモビリティ産業は、
完成機の王様ではない。
だが、完成機が成立する条件を支配している。
これは弱点ではない。
むしろ、極めて日本的で、合理的な戦略だ。
完成機を作らなくても、
ルール・基準・中核部品で世界を支配する。
それが、日本の勝ち筋だ。
日本は、
責任・政治・認証・市場――
それらすべてを背負うより、
「世界のモビリティを、裏側から成立させる」
それが、日本が選んだ道であり、
そして今も、最も勝率の高い道なのかもしれない。
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