むるむる ブログ

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「切符」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。


自動改札に吸い込まれる磁気切符、スマホをかざすICカード、あるいは最近増えてきたQRコード

今、鉄道・バス・航空の世界では、切符の姿が静かに、しかし確実に変わりつつあります。
切符はQRコードになるのか?
そして、その先にある“未来の切符”とは何なのか?


1. 切符はすでに「紙」から離れ始めている

まず現状を整理しましょう。

日本の切符の変遷

  • 紙の硬券(昔)
  • 磁気切符(現在も主流)
  • ICカード(Suica・ICOCAなど)
  • QRコード(急速に拡大中)

特に近年、QRコード乗車券は以下の分野で急速に普及しています。

  • 新幹線のeチケット
  • 地方鉄道・観光列車
  • 空港連絡バス・高速バス
  • 海外の地下鉄・鉄道

もはや「実験段階」ではなく、実用フェーズに入っています。


2. なぜQRコードが選ばれるのか?

QRコードが注目される理由は、技術的というより経営的に合理的だからです。

鉄道会社側のメリット

  • 改札機が安い(ICより構造が単純)
  • 磁気券売機が不要
  • 紙・インク・保守コスト削減
  • システム更新が容易

利用者側のメリット

  • スマホ1台で完結
  • 事前購入・変更が簡単
  • 紛失リスクが少ない

特に地方交通事業者にとって、
「ICカードは高すぎるが、QRなら導入できる」
という現実があります。


3. それでも日本でQR切符が遅い理由

海外ではQRが主流の都市も多い一方、日本は慎重です。

理由は明確です。

日本特有の事情

  • 改札処理速度への異常なこだわり
  • 通勤ラッシュという世界最悪レベルの混雑
  • 既存ICインフラが完成されすぎている

ICカードは0.1秒以下で処理できますが、
QRコードはどうしてもカメラ読み取りの時間が必要です。

👉 大都市の通勤鉄道では、QRはまだ“弱い”


4. では、切符の未来はQRで終わるのか?

答えは NO です。

QRコードは「過渡期」の技術にすぎません。


5. 切符の次の姿──「存在しない切符」

未来の切符は、こうなっていく可能性があります。

① アカウントベース乗車

  • チケットは発行されない
  • 乗った履歴だけが記録される
  • 月末にまとめて請求

すでに海外では実用化されています。


② 顔認証・生体認証

  • 改札に立つだけ
  • スマホすら不要
  • 空港ではすでに導入済み

日本でも実証実験が進行中です。


③ MaaS(移動のサブスク化)

  • 電車・バス・タクシー・シェアサイクルが一体化
  • 「切符」ではなく「移動権」を買う
  • 区間や事業者の概念が薄れる

ここでは、切符は完全に消滅します。


6. 紙の切符は本当に消えるのか?

結論から言えば、

👉 都市部では消える
👉 地方・観光では残る

です。

紙が残る理由

  • 記念性(観光・鉄道ファン)
  • スマホを持たない層
  • 災害時の冗長性

つまり紙の切符は、
インフラではなく「文化」になるのです。


7. 切符の未来は「技術」より「思想」

切符の進化は、単なるデジタル化ではありません。

  • 移動をどう管理するのか
  • 利用者をどう捉えるのか
  • 公共交通をどう維持するのか

その思想の違いが、
QRなのか、ICなのか、顔認証なのかを決めています。


まとめ:切符は姿を変え、やがて消える

  • 短期的には QRコードが拡大
  • 中期的には アカウントベース化
  • 長期的には 切符そのものが消滅

しかし同時に、

切符は、人の記憶と文化として、
紙のまま生き残る。

切符の未来とは、
「便利になる話」ではなく、「移動の価値がどう変わるか」の話なのです。

Post date : 2025.12.22 22:57