主に旅について、それから色々
インバウンドと聞くと、
「中国人観光客が爆買いする」
そんなイメージがいまだに残っているかもしれません。
しかし、近年の日本を訪れる外国人観光客の中核は、中国以外の国・地域に大きくシフトしています。
欧米、オーストラリア、東南アジア、中東――
彼らは、日本に「安いから」来ているわけでも、「近いから」来ているわけでもありません。
では、彼らはいったい日本に何を求めて来ているのか。
少し視点を変えて、掘り下げてみましょう。
富士山、京都、奈良、広島。
もちろん有名観光地は人気です。
ですが、欧米圏の旅行者の多くは、
**「名所を見る」よりも「その場の空気を体験する」**ことを重視しています。
こうした行動は、日本人から見れば「何が楽しいの?」と思うものかもしれません。
しかし彼らにとっては、
生活が壊れていない先進国
秩序が自然に保たれている社会
その“雰囲気”自体が、極めて珍しい体験なのです。
日本は、世界的に見て異常なほど安全な国です。
これらは、日本人にとっては当たり前ですが、
欧米や一部アジア諸国では「当たり前」ではありません。
特に女性の一人旅や、高齢者を含む家族旅行では、
日本は「緊張しなくていい旅行先」
という評価を受けています。
観光資源は、必ずしも「派手なもの」である必要はありません。
安心して過ごせる国であること自体が、圧倒的な価値なのです。
寿司、ラーメン、和牛、居酒屋料理。
これらは、もはや世界中で知られています。
注目すべきなのは、
日本食は「安くても怖くない」という点です。
こうしたものを、外国人観光客は警戒せずに食べます。
これは、食の安全管理や品質への信頼が前提にあるからです。
多くの国では、
「安い=衛生的に不安」という認識が根強くあります。
日本は、
価格帯を問わず、食が信用されている稀有な国なのです。
日本の公共交通は、世界トップクラスに複雑です。
にもかかわらず、外国人観光客の評価は高い。
なぜか?
それは、
不便そうに見えても、実際には機能しているからです。
この「秩序だった不便さ」は、
カオスな都市に慣れた旅行者にとって、強烈な印象を残します。
日本は、非常に振れ幅の大きい国です。
新幹線で数時間移動するだけで、
まったく違う世界が現れます。
このコントラストの強さは、
国土が比較的コンパクトな日本だからこそ成立します。
「一つの旅行で、何種類もの国を見た気分になる」
これは、実際によく聞かれる感想です。
欧米の観光地は、
「どう楽しむべきか」を丁寧に説明してきます。
一方、日本は違います。
しかし、この余白が、外国人には心地よい。
正解を押し付けられない
自分で解釈できる
だからこそ、日本旅行は
「記憶に残る体験」になりやすいのです。
まとめると、中国人以外の外国人観光客が日本に求めているのは、
彼らが求めているのは、
✔ 安心できる社会
✔ 壊れていない日常
✔ 静かな秩序
✔ 説明されすぎない文化
そして何より、
「この国は、なぜこうなっているのか?」と考えさせる余白
なのです。
日本人自身が気づいていないだけで、
日本はすでに非常に完成度の高い観光資源を持つ国です。
ただしそれは、
目立つ形では存在していません。
だからこそ、
それ自体が、日本の価値を守る戦略なのかもしれません。
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