むるむる ブログ

主に旅について、それから色々

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インバウンドと聞くと、
「中国人観光客が爆買いする」
そんなイメージがいまだに残っているかもしれません。

しかし、近年の日本を訪れる外国人観光客の中核は、中国以外の国・地域に大きくシフトしています。
欧米、オーストラリア、東南アジア、中東――
彼らは、日本に「安いから」来ているわけでも、「近いから」来ているわけでもありません。

では、彼らはいったい日本に何を求めて来ているのか
少し視点を変えて、掘り下げてみましょう。


1. 観光名所ではなく「空気」を味わいに来ている

富士山、京都、奈良、広島。
もちろん有名観光地は人気です。

ですが、欧米圏の旅行者の多くは、
**「名所を見る」よりも「その場の空気を体験する」**ことを重視しています。

  • 朝の通勤ラッシュを外から眺める
  • 商店街の小さな居酒屋に入る
  • 住宅街をただ歩く

こうした行動は、日本人から見れば「何が楽しいの?」と思うものかもしれません。
しかし彼らにとっては、

生活が壊れていない先進国
秩序が自然に保たれている社会

その“雰囲気”自体が、極めて珍しい体験なのです。


2. 「安全」と「信用」が、観光資源になっている国

日本は、世界的に見て異常なほど安全な国です。

  • 夜中に一人で歩ける
  • スリや置き引きの心配が少ない
  • 店や公共交通が信用できる

これらは、日本人にとっては当たり前ですが、
欧米や一部アジア諸国では「当たり前」ではありません。

特に女性の一人旅や、高齢者を含む家族旅行では、

日本は「緊張しなくていい旅行先」

という評価を受けています。

観光資源は、必ずしも「派手なもの」である必要はありません。
安心して過ごせる国であること自体が、圧倒的な価値なのです。


3. 日本食は「高級」ではなく「信頼」されている

寿司、ラーメン、和牛、居酒屋料理。
これらは、もはや世界中で知られています。

注目すべきなのは、
日本食は「安くても怖くない」という点です。

  • コンビニのおにぎり
  • 立ち食いそば
  • 駅ナカの弁当

こうしたものを、外国人観光客は警戒せずに食べます
これは、食の安全管理や品質への信頼が前提にあるからです。

多くの国では、
「安い=衛生的に不安」という認識が根強くあります。

日本は、
価格帯を問わず、食が信用されている稀有な国なのです。


4. 「不便さ」が、逆に魅力になっている

日本の公共交通は、世界トップクラスに複雑です。

  • 路線が多い
  • 駅が巨大
  • 乗り換えが多い

にもかかわらず、外国人観光客の評価は高い。

なぜか?

それは、
不便そうに見えても、実際には機能しているからです。

  • 時刻表どおりに来る
  • 表示が正確
  • ルールが守られている

この「秩序だった不便さ」は、
カオスな都市に慣れた旅行者にとって、強烈な印象を残します。


5. 「極端さ」が共存する国だから面白い

日本は、非常に振れ幅の大きい国です。

  • 最先端の都市と、過疎の山村
  • ハイテクとアナログ
  • 静寂と喧騒

新幹線で数時間移動するだけで、
まったく違う世界が現れます。

このコントラストの強さは、
国土が比較的コンパクトな日本だからこそ成立します。

「一つの旅行で、何種類もの国を見た気分になる」
これは、実際によく聞かれる感想です。


6. 日本は「説明しすぎない国」だから刺さる

欧米の観光地は、
「どう楽しむべきか」を丁寧に説明してきます。

一方、日本は違います。

  • 神社に詳しい解説がない
  • 祭りの意味が分かりにくい
  • 習慣の理由が語られない

しかし、この余白が、外国人には心地よい。

正解を押し付けられない
自分で解釈できる

だからこそ、日本旅行は
「記憶に残る体験」になりやすいのです。


日本に来る外国人が求めているものの正体

まとめると、中国人以外の外国人観光客が日本に求めているのは、

  • 派手な観光施設
  • 安さや物量
    ではありません。

彼らが求めているのは、

✔ 安心できる社会
✔ 壊れていない日常
✔ 静かな秩序
✔ 説明されすぎない文化

そして何より、

「この国は、なぜこうなっているのか?」と考えさせる余白

なのです。


おわりに:日本は、すでに「観光大国」なのかもしれない

日本人自身が気づいていないだけで、
日本はすでに非常に完成度の高い観光資源を持つ国です。

ただしそれは、
目立つ形では存在していません。

だからこそ、

  • 派手に売り込もうとしすぎないこと
  • 無理に変えすぎないこと

それ自体が、日本の価値を守る戦略なのかもしれません。

Post date : 2025.12.24 16:13