むるむる ブログ

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坪尻駅の探訪を終え、列車が動き出した。

次の目的地は松山。四国最大の都市まで、乗り継ぎを重ねて向かいます。行程はこの通りです。

時刻行動
8:29坪尻発 琴平行普通
8:58琴平着 乗り換え
9:05琴平発 多度津行普通
9:18多度津着 乗り換え(3分)
9:21多度津発 特急しおかぜ3号
11:15松山着

……のはずでした。


琴平で、えらいことが起きた

坪尻から琴平まで順調に乗り継ぎ、8:58に琴平着。9:05発の多度津行普通列車に乗り込みます。多度津での乗り換え時間はわずか3分。ギリギリですが、普通列車が定刻で走ればなんとかなるはずでした。

ところが、9:05になっても列車が動きません。

対向列車が遅れているため、出発できないとのこと。単線区間では、上りと下りがすれ違える場所まで両方が来ないと、どちらも動けません。これが単線の宿命です。

結局、6分遅れでの出発となりました。

乗り換え時間3分。遅延6分。

詰んだ。

多度津での乗り換えは不可能です。しおかぜ3号には乗れない。次の松山行特急はしおかぜ5号、10:15発。約1時間の遅れになります。

しかも、この遅れは単なる時間ロスでは済まない事情がありました。松山での予定が後ろ倒しになることで、その後の行程全体に影響が出る可能性があります。どうしようもないとは思いつつも、とりあえず車掌さんに声をかけてみました。

「しおかぜ3号に乗って松山へ行くつもりだったんですが、遅延で間に合わなくなってしまいまして……特急券の払い戻しや振替はできますか?」

車掌さんは一言、「大丈夫です」と言って、どこかへ連絡を始めました。


特急が、普通列車を待っていた

しばらくすると、車掌さんが戻ってきて言いました。

多度津で特急が待ちますので、大丈夫です。

……特急が、待つ?

特急しおかぜ3号が、この遅延した普通列車を待って発車を遅らせる、ということです。鉄道に乗り慣れている方なら、これがいかに異例のことかおわかりいただけると思います。「普通列車の遅延のせいで特急の乗り継ぎに間に合わなかった」なら日常茶飯事ですが、「特急が普通列車の到着を待つ」というのは、まず経験できることではありません。

多度津に着く直前、車掌さんが再び声をかけてくれました。

急がなくても大丈夫ですから、あわてずに乗り換えてください。

この一言の、なんとありがたかったこと。乗り換えに失敗したら詰む、という緊張感がすっと解けました。

多度津に到着。しおかぜ3号が、確かに待っていました。到着ホームから地下通路を足早に通り抜け、可能な限り手早く乗り換えて、車内へ。

特急しおかぜ3号は、6分遅れで多度津を出発しました。

JR四国、すごい。特急を待たせたのは、人生で初めての体験でした。


特急しおかぜ とは

特急しおかぜは、岡山〜松山間を予讃線経由で結ぶJR四国の看板特急です。高松発の特急いしづちと多度津・宇多津で連結・分割されながら運行します。

使用車両は8000系と8600系の2種類が現在も併用されています。8000系は1993年に登場したベテランで、リニューアルを重ねながら現役を続けています。8600系はより新しい車両で、空気圧式の車体傾斜装置を搭載しています。
今回乗車したのは8000系です。

リニューアルされた8000系の外観は、車体側面にオレンジ色と緑色のラインが配されており、オレンジは瀬戸内の温暖な気候と愛媛の柑橘を、緑は香川のオリーブを象徴しています。

今回乗車した しおかぜ3号 の1号車は、少し変わった構造になっています。先頭側の半分がグリーン車、残りの半分が普通指定席という、1両の中でグレードが分かれている構成です。私は1号車の指定席に着席。グリーン車との仕切りを前にして、松山まで快適に過ごしました。


瀬戸内の車窓――工業地帯から海景色へ

多度津を出た列車は、予讃線を西へ走ります。

しばらくは工業地帯の景色が続きます。造船所の大きなクレーン、製紙工場の煙突。瀬戸内海沿岸は日本有数の重化学工業地帯で、この雄大な産業の景色もまた、予讃線の車窓の顔のひとつです。途中の新居浜は、別子銅山を源流とする住友の企業城下町ですね。伊予西条には、四国鉄道文化館もあります。

そして今治を過ぎると、車窓はがらりと変わります。

穏やかな瀬戸内、伊予灘の島々が広がります。今治以西の予讃線は海のすぐそばを走る区間が多く、穏やかな海と点在する島々の風景が広がります。風光明媚な景色を眺めながら、列車は松山へ向かいます。

車内ではカーブでも揺れをほとんど感じず、静かで快適な乗り心地でした。気動車特急うずしおのディーゼルの振動とはまた異なる、電車特急らしいスムーズな走りです。昨日からずっと揺れに揺られてきた体には、この快適さがありがたい。


松山着、ほぼ定刻

多度津を6分遅れで出発したしおかぜ3号は、走行中に遅れを取り戻していきました。そして松山駅にはほぼ定刻の11:15に到着

坪尻駅の秘境探訪から始まり、琴平での遅延、特急が普通列車を待つという奇跡的な対応、瀬戸内の車窓——盛りだくさんの午前中が、松山駅のホームで一区切りとなりました。

単線ゆえの遅延、そしてそれをカバーするための特急待機。不便と親切が隣り合わせになっているのが、地方鉄道の旅の醍醐味かもしれません。


乗車メモ

項目内容
乗車日2026年7月29日
区間①坪尻→琴平(土讃線普通)
区間②琴平→多度津(普通 6分遅延)
区間③多度津→松山(特急しおかぜ3号 6分遅れで発車・定刻着)
乗車車両1号車指定席(先頭半分がグリーン車、後半が指定席)
松山着ほぼ定刻11:15

旅のお供に

今回のような乗り継ぎ旅には、車内で快適に過ごすためのグッズが役立ちます。

ノイズキャンセリングイヤホン

気動車から電車特急への乗り継ぎで、車内の静粛性が大きく変わります。どちらの車両でも快適に音楽や動画を楽しむなら、ノイズキャンセリングイヤホンがあると重宝します。

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モバイルバッテリー

秘境駅探訪から特急乗り継ぎまで、一日中スマホを酷使する旅です。モバイルバッテリーは必携です。

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まとめ――JR四国の「人の温かさ」を感じた旅

単線の遅延で特急を逃しそうになったとき、車掌さんのひとことで事態は一変しました。「大丈夫です」「あわてなくていいですよ」——この二言に、どれだけ救われたか。

JR四国は規模の小さな会社ですが、その分、乗客ひとりひとりへの対応が丁寧だと感じます。坪尻から松山へ向かうだけの短い旅程で、それを実感しました。

四国を旅するなら、スケジュールに少し余裕を持たせるのがおすすめです。単線区間での遅延は珍しくない。でも、その「ちょっとしたトラブル」が、旅の一番の思い出になることもあります。

※掲載の時刻・運行情報は2026年7月時点のものです。ダイヤ改正により変更になる場合があります。必ず最新の時刻表でご確認ください。

Post date : 2026.08.09 22:11